日本財団 図書館


 圧等からかなり厳しいものとみられる。以上のことから、不況対策としては、「船員費の上昇への対応」と「近代化船や専用船への代替の促進」が課題としてあげられる。
 ? 運送業者に対する荷主の物流二ーズは、「大量輸送システムの構築すなわちスケールメリットによるコスト削減」であり、「小口多品種化・多頻度化への対応」、「納期の短縮化に伴う輸送時間の短縮」、さらに「海陸一貫の複合輸送」への対応である。こうした二ーズに対して運送業者は先ず第一に「近代化船の導入」(41%)、次いで「運航頻度の増加」(31%)を計画している。
 ? 貸渡業者に対する運送業者の二ーズは、「雑貨輸送の専用船」(49%)「RORO船」(44%)への対応であり、貸渡業者は先ず「運航の効率化」を図り、さらに「省エネ・近代化船」(36%)や「大型船の導入」・「船舶隻数の増加」(各25%)で対応しようとしている。

 

 このような利用者の内航への二ーズに対して、運送業者・貸渡業者とも近代化船の導入で対処しようとしており、近代化船の建造を促進する方策が課題となっている。

  (3)九州における内航海運の活性化のための課題

 以上、みてきたことから内航海運業における活性化策としては、次のようなことがあげられる。
 ? 共同化、協業化の推進
 九州の内航海運業者数は898社であり、このうち、貸渡業者は81.5%を占めており、特に、小規模零細の一杯船主が全体の過半数(52.7%)に達している。
 実態調査の中でも、貸渡業のうち一杯船主は、65.1%を占めており、「業績が悪い」、「業績が余りよくない」貸渡業者は、80%強となっている。また、船舶の採算性については、全体の51.8%が採算割れの状況にあり、零細な一杯船主の経営実態を反映しているものとみられる。
 現在の貸渡業者の重要な経営課題として回答を得た「用船料の低下」(57.1%)という点は九州海運業界の大きな問題といえよう。零細貸渡業者の経営改善策は、「運航コストの削減」があげられているが、コストの削減については限界があることから、経営基盤の強化策の一つとしては、コストにみあった「用船料の引き上げ」が求められている。
 一方、運送業者は「適正運賃が収受できない」ことと「荷主の運賃値下げ要求が厳しい」ことが経営上の問題点であり、対策は「荷主に対する運賃交渉」が課題となっている。
 このように内航海運業者の改善策は、運送業者が「運賃の値上げ」、貸渡業者が「用船料の値上げ」であることから両者ともコストにみあった運賃、用船料の引き上げの要求が強いことを示している。運賃・用船料の交渉力を強めるためには、中小零細な業者が個々に交渉

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION