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  5−2船腹調整事業への依存の計画的解消に向けた内航海運業界の取り組み

 船腹調整制度の問題は、平成7年6月の海運造船合理化審議会答申、さらに、平成7年12月の行政改革委員会の意見を経て、平成8年3月の規制緩和推進計画の改定で「モーダルシフト船は、平成10年年度末までに船腹調整事業の対象外とする。その他の船舶は、荷主の理解と協力を得ながら、5年間を目処に所要の環境整備に努め、その達成状況を踏まえて同事業への依存の解消時期を図る。」という内容が閣議決定された。
 そこで、運輸省では、平成8年4月に総連合に対して、船腹調整事業への依存の計画的解消に向けた環境整備の推進のため、5年間を目途に達成を図る環境整備の全体計画及び平成8年度の実施計画を決定するように指示し、総連合は、平成8年6月に全体計画として「環境整備の計画」さらに平成8年7月に「平成8年度の実施計画」を取りまとめ、運輸省へ提示した。

  5−3「環境整備の計画」の内容

 総連合が提示した「環境整備の計画」の内容は以下に示すとおりである。大きくは、内航海運業界の自主的努力により実施する対策と行政当局及び荷主に協力を要請する施策とにわかれている。前者では、自己資本比率の充実、グループ化・協業化等の推進、船舶建造の円滑化、船舶需給の適正化、運賃・用船料の適正化、船員の安定的確保、輸送の効率化、取引関係の優越的地位の濫用防止と受注機会均等化をあげている。後者では、船舶建造の円滑化、船員の安定的確保、輸送の効率化、船舶の近代化、標準化の推進、取引関係の優越的地位の濫用防止と受注機会均等化などを行政に要請している。また、利用者である荷主には、船腹需給の適正化、運賃の適正化、船員の安定確保、輸送の効率化、取引関係の優越的な地位の濫用防止と受注機会均等化等を要請している。これらは、第4章で整理したように、九州・山口地域の内航海運業の抱える最大の問題点でもある。

 

 

 

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