内航運送業の問題点を把握するために、「業績は悪い」した26社について分析をおこなった。内航輸送量の減少、船腹過剰の中で業界全体が過当競争となっており、一方で物流コスト削減、輸送効率化を追求する荷主二ーズの狭間にあって、自社船、用船とも半数以上の業者で採算割れの状態となっている。このようななかで、事業所が抱える問題としては「適正な運賃収受ができない」、「不況、円安等による荷主の運賃値下げ要求が厳しい」があげられており、離島業者は「運航コストの上昇」、「船員の高齢化」を指摘している。
内航海運の不況に対する対策が講じられているのは、旧一号・二号業者のみであり「省力化による運航コストの削減」、「用船料の引下げ」をおこなっている。
また、最近の荷主二ーズと対策についてであるが、旧一号・二号業者は「内航輸送においても小口多品種化、多頻度化が進展している」、なかで「運航頻度の増加」を対策としてあげており、旧三号・四号業者では、「大量輸送システムの構築すなわちスケールメリットによるコスト削減が求められている」、「海上輸送だけでなく海陸一貫の複合輸送が求められている。」なかで「省エネルギー船や省力船(M0船等)等の近代化船の導入」、「複合一貫輸送への進出」が対策としてあげられている。離島業者は「小口多頻度化の進展」、「輸送時間短縮」のなかで「高速船の導入」を検討している。旧一号・二号業者や離島業者など個別にみると、今後生き残りをかけた対応策がやや異なっている。