一方で、九州・山口地域の貨物の多くが神戸港などを経由する状況にあって、九州・山口の中枢的な港湾である関門港は、九州・山口地域の貨物が域外の港湾を経由しなくても済むように、港湾物流機能のさらなる充実を図る必要がある。
こうしたことから、港湾物流機能の充実にあたって、関門港はその特徴を活かし、九州・山口地域を中心としたわが国とアジア諸地域間の多様な輸送二一ズに的確に対応していく役割を中心に据え、これに加えて現状では必ずしも充実しているとはいえない欧米航路の充実や中継貨物の取扱いを進めていくことが適切と考えられる。
なお、地方港との関係においては、両者の役割分担について調整を図る必要があるが、関門港としては、港湾物流機能や航路網の充実度を活用して、質の高いサービスを低コストで提供することによって、九州・山口地域全体として関門港に集約化することのメリットを示していくことが求められる。
(2)港湾運営面を中心とした物流機能充実の具体的方策
港湾物流機能の充実を図るにあたっては、その基盤となる港湾施設の整備とともに、そこで展開される港湾運送をはじめとする港湾運営面の充実が特に重要である。このため、本調査では、関門港における港湾運営面を中心とした検討により、充実すべき港湾物流機能として7項目を設定し、それらの実現のための具体的方策として10項目について検討を行った。
以下では、これらを「国際水準のサービス体制の実現」「港湾運送の効率化」「各港湾における付加価値の創出」の3つに大別し、九州・山口の港湾における一般化及び関門港における展開の方向性について整理した。
1)国際水準のサービス体制の実現
ア)九州・山口の港湾における方向性
経済活動のグローバル化が進展する中で、荷主の国際物流や外航船社の配船行動においても、効率化や低コスト化、情報化などが強く求められるようになっている。一方、わが国の港湾物流は、日曜荷役や料金面などでこうした動きへの対応の遅れが問題点となっている。
これらは、九州・山口を含むわが国の港湾に共通した課題であることから、「ターミナルの通年フル稼働化」、「入港や港湾荷役に伴う諸料金の低減」、「EDI化の推進」の各点において、各港湾の現状を踏まえながら着実に推進していくことが求められる。
イ)関門港における方向性
関門港は、六大港であること、関門海峡に面することなどが一種の制約要因となり、国際水準のサービス体制の実現が特に強く求められる港湾である。
また、港湾物流の情報化は、わが国の港湾が欧米やアジアの主要港と比較して最も取り組みの遅れているとされる分野の一つであること、港湾物流全般の自動化・省力化や低コスト化にあたって情報化の推進が共通の要件となることなどから、関門港は、九州・山口の中枢的な港