1)背景とねらい
関門港では、鉄道、トラック、新門司地区等からのフェリー、新北九州空港(予定)からの航空といった国内輸送手段と外貿コンテナ船とを組み合わせた輸送サービスの実施が考えうる。
鉄道に関しては、関門〜釜山航路と鉄道コンテナを組み合わせた国際複合一貫輸送サービスが実施されており、関東・関西方面の韓国向け輸出入貨物の輸送においては、通常の海上輸送より短時間で、航空輸送より低コストで輸送できる。このため、対韓国貿易において、関東・関西方面は関門港の背後圏の一つとなっている。また、東京湾においても、東京〜宇都宮、横浜〜宇都宮において、荷主との恒常的な鉄道輸送契約に基づく海上コンテナの海陸一貫輸送の取り組みが行われている。
また、アジアを中心とする輸入貨物が増大し、わが国の港湾が輸出型から輸入型に転換する中で、輸入促進の観点からは、輸入貨物に対応した国内流通システムの整備が十分でないことが問題となっている。特に関門港においては、輸入の急増している中国などとの近接性を活かした物流システムの構築が必要となっている。
こうしたことから、国際物流と国内物流との結節点に複合貨物ターミナルを設置することによって、国際複合輸送システムを構築し、物流の円滑化、効率化を図る。
2)事例研究からの示唆
・神戸航空貨物ターミナル(K−ACT)は通関機能のほか、物流機能として、海上アクセスによる集中一貫輸送機能を持っている。集中輸送による規模のメリットのみならず、海上アクセスによる定時性が魅力となっている。
・現在、コンテナヤードが不足しており、約30h離れた楊山にインランド・コンテナ・デポを整備し、散在していたコンテナヤードの集約化を図ろうとしている。交通渋滞の緩和や物流コストの削減に寄与するものと期待されている。
・ヤオハングループが中心となった施設であるシンガポール国際卸売マート(IMM)は、卸、小売、貿易の3機能を併せ持っ施設である。