2)関門港の港湾物流機能充実の目標
以上の検討を踏まえ、関門港の港湾物流機能充実の目標を設定する。その際には、ターゲットとなる背後圏・航路網の評価を踏まえ、関門港の段階的な発展を想定する。
《港湾物流機能充実の基本的な目標》
港湾のユーザーである荷主及び船社に対して、低コストかつ高質な港湾サービスを提供する。特に、高質な港湾サービスとして以下の各点に重点を置く。
・混載サービスなど多様な輸送サービスの提供
・FAZ計画と連携した輸入貨物の流通円滑化
・陸・海・空の多様な輸送モードとの複合化
・積み替え(トランシップ)機能の強化
サービスを提供する地域(背後圏)・航路網として、次のような段階的な目標を設定する。こうした目標を実現する上で、九州・山口地域の貨物を、域外の港湾ではなく関門港で取り扱うことが必要であり、各段階を通じて基本的な目標となる。
<第1段階:既存機能の充実>
九州・山口地域を主な対象として、アジア域内航路の拠点性を高める
・主な背後圏:九州・山口
・主な航路網:アジア域内航路
※関東・関西を対象とした日韓複合一貫輸送については、日中間に拡大
<第2段階:欧米基幹航路の充実>
九州・山口地域を主な対象として、北米、欧州など基幹航路の開設を進める
・主な背後圏:九州・山口地域を中心として、中国・四国などへの展開を図る
・主な航路網:アジア域内航路の充実、北米・欧州など基幹航路の開設
<第3段階:環黄海四の拠点港湾化>
国内外の航路網が結節する環黄海圏の積み替え拠点とする
・主な背後圏:九州・山口地域を中心として、海外(中国北部)、国内(中国・四国、日本海沿岸)に拡大する
・主な航路網:アジア域内航路、欧米基幹航路、日本海沿岸への内航フィーダー航路など国内外各方面への航路網の充実
※各段階は取り組みの順序や時期を示すものではなく、複数の段階が同時並行的に進展することもありうる。
なお、一般に「積み替え拠点」は、基幹航路と域内航路の積み替え拠点を指す場合が多いが、近年のアジア域内(インドラーアジア)輸送需要の増加により、シンガポール、高雄などでは、それらの積み替え需要が急増しており、関門港においても、このようなインドラーアジア輸送を含めた積み替え拠点という目標設定が有効と考えられる。