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第1章 調査の概要

1.調査の背景と目的

(1)調査の背景

 1) 国際コンテナ貨物の増大に対応しきれていない九州・山口の港湾物流機能
近年におけるわが国の経済・産業の国際化の進展や消費需要の多様化等に伴い、製品類、部品類及び食料品等のいわゆる雑貨個品類の輸入が増大の傾向にある。こうした傾向は、地方への生産機能の分散や地方の国際化の進展を背景に、九州・山口においても、国際コンテナ貨物の増大という形で顕著に現れてきているが、その利用港湾をみると、九州・山口において消費・生産される国際コンテナ貨物の約4割が神戸港など九州・山口以外の港湾から輸出入されている現状にある。こうしたことから、九州・山口の港湾物流機能が、高度化する国際物流二一ズに対し質・量両面において十分に対応し得ていないことをうかがい知ることができる。

 2) アジアの経済発展やテクノスーパーライナー導入による九州・山口の発展可能性
一方、九州・山口は、「世界の成長センター」としてダイナミックな経済発展を遂げているアジアに近いという地理的特性を有しており、また、豊富な土地や労働力を背景とした自動車関連産業等の組立またはハイテクの高度な製造業を中心とする企業進出がみられ、アジア地域との経済的交流・物流の飛躍的増大が予想される。また、次世代の高速大量輸送手段として期待されているテクノスーパーライナーの導入は、九州・山口の港湾を核としたさらなる発展可能性を増大させるものとなっている。

 3) 九州・山口の港湾へのソフト面を中心とした物流機能充実の要請
こうした情勢の中で、九州・山口の港湾が円滑な物流機能を果たしていくためには、わが国における九州・山口の港湾の位置づけに着目し、併せて荷主等の港湾利用者の二一ズを踏まえながら、港湾管理者及び港湾運送事業者等の港湾関係者が連携して、外貿コンテナターミナル、FAZ(輸入促進地域)を中心とした国際物流拠点及びアクセス交通基盤等のハード機能整備やコンテナ船を中心とした航路網の拡充とともに、これらに対応しまたは、先取りした荷役、保管、流通加工、情報等の様々なソフト機能の強化・充実を図ることが求められている。

 4) 港湾間競争の激化とケーススタディによる検討の必要性
このような状況を踏まえ、来るべき21世紀における九州・山口の港湾をめぐる環境変化と将来像を展望するとき、港湾物流機能に対する高度化、効率化の要請は、今後ますます高まる一方、地域の経済発展を背景とするアジアの主要港の港湾物流機能の充実する中にあって港湾間の競争も激化する状況にあることから、今後、港湾が生き残り、活性化していくためには、迅速で確実しかも低コストといった質の高いサービスをいかにして提供していくかというソフト面を中心とした港湾物流機能の強化・充実の成否が最重要課題になってくる。しかしながら、港湾物流機能

 

 

 

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