まず、農家戸数は、7年に344万戸と35年の606万戸に比べ43%減少した。なお、7年の戸数には、雲仙・普賢岳の噴火と阪神・淡路大震災の被災地域の約7千戸を含んでいないこともあるが、最近5年間の減少率は年率2.2%とこれまでになく高かった。一方、「人」にかかわる諸指標は、農家戸数に比べ、いずれもより大きな減少率となっている。このうち、農家人口は、35年には3,441万人と、国民の3人に1人は農家世帯員であったのが、7年では8人に1人の1,506万人(35年と比べ56%減)となっている。また、農業労働力の諸指標については、30年代において過剰就業状態にあったことに加え、高度経済成長に伴い産業構造が変化するなかで、非農業部門への流出が続いたことから、大幅な減少がみられる。35年に比べ農業就業人口(農業に主として従事した者)については66%減の489万人、農業就業者のなかでも従事日数が特に多い農業専従者(年間150日以上農業に従事した者)については、78%減の205万人となっている。ちなみに、総務庁「労働力調査」でみると、農業就業人口は、35年時点で総就業人口の27%を占めていたが、50年には11%、6年では5%と、そのシェアが著しく低下している。しかし、農業就業人口の占める割合の低下は、経済成長の過程ですべての国でみられる現象であり、アメリカ、イギリスの1994年現在の同割合は約2%(林業、狩猟業、水産業を含む。)と、我が国よりさらに産業構造の変化が進展している(表?X−1)。