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2. 研究調査の背景

2−1. 障害者とは

昭和50年(1975年)、国際連合第30回総会において「障害者の権利宣言」がなされた。これによると、「障害者(Disabled person)とは、先天的か否かにかかわらず、身体的又は精神的能力の不全のために、通常の個人生活並びに社会生活に必要なことを自分自身では、完全又は部分的にはできない人をさし、「社会的不利(Handicap)」とは明確に区別している。また、昭和52年の第32回国連総会決定によると、障害者を「機能障害(Impairment)」と「能力障害(Disability)」、「社会的不利(Handicap)」の三つに分けることを提案している。一般的に我が国では、障害者をハンディキャップト(社会的不利者)と呼称するケースが多々あるが、それは我が国の障害者が社会生活を行う上で、その環境の整備がきわめて遅れていることを示す言葉である。アメリカ合衆国では障害者を「能力障害者:ディスアビリティ」とし、機能障害に起因するもので、人間として正常と思われる方法または範囲内で、ある活動を成し遂げる能力に何らかの不足がある人々と位置づけている。それに対し、ハンディキャップトは年齢、性別並びに社会的及び文化的要因で差別者となっている人々を示す言葉で、個人にとって不利をさすもので差別用語となっている。我が国では厚生省の身体障害者福祉法に基づく表2−1−1のような分類がある。また、建築的障壁を考慮して能力障害から見た障害者の分類を建築学会が行っている。建築学会の分類を表2−1−2に示す。

表2−1−1 我が国の厚生省の資料による分類

種      別 級                          別
視   覚   障    害 両眼の視力の和または一眼の視力が著しく低下しているかもしくは、両眼の視野がかけているもので、障害の程度に応じて1級から6級までわけている。
聴覚または平行機能の障害 聴 覚 障 害 両耳の聴力の損失の程度によって、2級、3級、4級、6級の4段階に分けられている。
平行機能障害 平行機能障害をもつもので、3級と5級の2段階に分けている。
音声または言語機能の障害 音声機能または言語機能を損失しているもので3級、4級の2段階がある。
肢 体 不 自 由 上肢 両上肢もしくは一上肢のうち、指、上腕、肘間接、眉間接などに障害のあるもので、その部位の程度に応じて1級から7級までの7段階に分けている。
下肢 両下肢もしくは一下肢のうち、大腿又関節、膝関節、足関節などに障害のあるもので、その部位程度に応じて1級、から8級までに分けられている。
体幹 体幹に機能障害があり、座位、起立位、歩行などが困難なもので、その程度に応じて1級、2級、3級、5級に分けている。
心臓、じん臓または呼吸器の機能の障害 心臓機能障害 心臓の機能に障害があり、日常生活などが著しく制限されるもので、1級、3級、4級の3段階に分けられている。
じん臓機能障害 じん臓の機能に障害があり、日常生活などが著しく制限されるもので、1級、3級、4級の3段階に分けられている。
呼吸器機能障害 呼吸機能に障害があり、日常生活などが著しく制限されるもので、1級、3級、4級の3段階に分けられている。

 

 

 

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