日本財団 図書館


-3. 落雷による危険防止

 FRP船の船体は不良導体であるため、落雷によって電子機器などが障害を受けるばかりでなく、人身事故に至るような重大な事故が起きることもある。したがって、次のような避雷措置を施す必要がある。なお、詳細については付録「避雷設備」を参照のこと。

(1) 電子機器のアンテナ系の避雷措置

アンテナ系を、切換えなどによって接地できる構造とする。また、アンテナ系に使用する電子機器の箱体は確実に接地する。

(2) 避雷針

避雷針は船体の最も高い位置に備え、できる限り船体が避雷針を含む鉛直線と60度をなす円錐内に入るようにする。金属製マストについては、避雷針を備えるか避雷用の接地を施す。

(3) その他

甲板や甲板室の頂部などに突出する金属製のものは必ず接地する。

-4. 静電気対策

 FRP船は、船体が不良導体であるため、摩擦帯電が生じやすい。船体の一部や構造物のなかに、電気的に独立した金属があると、摩擦帯電により生じた他物体の電荷がこの金属に蓄積され、電位を高めることになる。しかもこの蓄積された電荷の放電が一気に生じ、そのエネルギーも大である。したがって、これによる電子機器への誘導障害も大きく、また放電が人体を通して生じた場合には、人体に有害な電撃を与える。更に、この放電路に着火性のガスが存在すると(例えば燃料タンクの中や近傍で放電した場合)、これへの点火源となって、火災や爆発などの災害を生ずることがある。したがって、金属構造物は、絶縁状態に置かれないように接地する必要がある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION