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て、その中にある遊離した電子が電波の伝搬に大きな影響を与える。この電離層の構造などについては次の節で述べる。船舶で、GMDSSなどの通信用及び航法用の機器で使用されている電波は広い範囲の周波数(あるいは波長)に及んでおり、その伝搬の模様や問題点はその周波数によって大きく変化をしている。電波は前にも述べたように、その性質として波動としての性質をもつ一面と、光としての一面の二つの面をもっている。電波の伝わりかたをみる場合に、その波長に比べて広い空間を伝わる形で電波をみるときには光の伝わりかたと同じように考えられるのに対し、その波長に対応する程度の大きさの空間、たとえば、導波管内の伝搬のような場合を数式的に扱うためには、波動としての性質でその伝搬を考えていく必要がある。こうした電波の性質と、地球やそれを取り巻く環境の中を伝わる電波の経過や伝わり方にはいろいろな形式がある。そのうち、いくつかの主なものをあげると図7・2のようになる。この電波の伝わり方を示す用語は、いろいろな本でよく使われている言葉にも混乱があるが、ここでは、電子情報通信学会の用語集により、よく使われている用語もあわせて示しておく。

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(1)直接波

 送信空中線から受信空中線に直接到達する波をいい、したがって見える範囲内での伝送となる。人工衛星からの電波もこれに相当する。

(2)大地反射波

 送信空中線からの送信が大地(海面を含む)に当たって反射されて受信空中線に達する波をいう。

 

 

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