
前者については、既にいくつかの自治体で試みられ、市民が市民活動に参加する際の情報提供に寄与している。しかし、問題は、先にみた神奈川県民活動支援センターの例にみたような、その市民活動情報専門のコーナーが設けられているのか、また、それ自体へのアクセスがどのように保障されているのかということである。これは、自治体の広報・公聴会の強化として一般的に論じることもできるが、市民活動に関する情報提供の場合、とくに問題になるのは、提供する情報の内容にかかわることである。地方自治体にとっては、ある市民活動団体についての情報を提供するということは、その団体を認定することになるのではないかという危惧があり、また、それについて生じるトラブルの責任を負えるのかという心配もある。しかし、結論的に言えば、ここで論じている市民活動団体については、公益性・公共性の観点から市民が自発的に活動するものを指しており、そうしたことを前提とし、また、そのことを含めて市民に周知させることで十分であると考えられる。したがって、政治団体など、明かに目的を異にする性格の団体を排除すれば十分なのであって、原則的には、市民活動団体の申請に基づいて情報を提供するコーナーを、相談に応じられるような体制で、設置する必要があると思われる。
一方、自治体が行う市民活動支援政策についてのインフォメーションについても、上記コーナーを設置して対応することが望ましい。より具体的には、そうしたコーナーでの情報提供や相談サービスを行うために、そのためのメニュー化を進める必要もある。当然のことながら、自治体広報などあらゆる方策を駆使して、それらについて周知徹底をめざすべきものであると考えられる。
(c)人材育成
人材の育成については、現実的には、賛否両論が存在する。そもそも、自発的に活動が展開されることが市民活動の基本であるため、人材育成を自治体が行うことは筋違いであるという意見が存在するからである。
しかし、ここでいう人材育成にはいくつかの意味があることにも留意する必要がある。第1に、市民活動を展開するに際しての専門的な技術の取得等に関する人材育成援助がある。たとえば、ホームヘルプサービスを実施するにあたっての講習であるとか、手話教室の開催などが考えられる。第2に、市民活動を展開するに際して必要な、事務的な手続き等についての理解を深めるための講習も考えられる。公的な援助を受けるためにはどのような手続きを必要とするのかとか、会計処理についてはどのような方法があるのかなどについて、市民活動の運営にしぼって行うことも考えられてよいだろう。第3に、すでに福
前ページ 目次へ 次ページ
|

|