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成功するか否かであるという指摘すらなされているように、活動の継続性と安定性を確保するためには、安定的な財源の確保は欠くべからざるものである。とくに、バブルの崩壊以降の企業による寄付金の減少や、制度上も、意識の上でも個人からの寄付が集めにくい現状がある。したがって、市民活動団体の資金獲得の要望は自然と地方自治体に集まることとなる。
先に見たように、地方自治体による補助金など直接の支出は難しく、外郭団体や基金を通じた資金援助が多くなっているが、市民団体と委託契約を結んで対価を支払う方式も生まれてきている。これは、注目を集めつつある市民事業にとっても重要な問題であり、表制は市民活動支援のためにも、市民事業を育成していくためにも積極的にこれら団体と委託契約を結んでいくことが必要である。
資金援助の面で注意せねばならないことは、いわゆる「ひも付き」援助があってはならず、援助することをもって市民活動の手足をしばり、行政の下請化が進んではならない。そのために、後に論じる行政機構の改革に関連することであるが、援助を受けている団体について、その対象事業および金額、対象団体の決定過程などについて明かにし、透明性を確保することである。当該市民活動団体が、資金援助を受けるに十分な公共性・公益性を保持し、公共サービスの担い手としての用件をみたしていることについての透明性が確保される必要があるであろう。それらが明らかにされていない現状の下では、「ひも付き」援助にたいする批判をかわす根拠を示すことができず、市民活動の発展にとってもマイナスである。プライバシー問題がしばしば非公開の理由とされることがあるが、公共性・公益性をもつ市民団体が、資金援助を公金から受けることに関する情報は、個人情報ではなく、当然市民に公開されるべきものと考えられる。
当該市民活動団体が、行政(ないしは外郭団体等)から何らかの資金援助を受けたり、委託を受ける対象に決定されたことについて、透明で公正な手続きがなされたことが周知されれば、「ひも付き」援助といった批判はあたらなくなり、市民活動団体の活動基盤設備にも大きく貢献するものと思われる。
(b)情報提供
市民活動について地方自治体が行える情報提供については、2つの側面が考えられる。一つは、その地域でどのような市民活動が展開されているのかを市民にインフォメーションし、それへのアクセスを知らせるような情報提供であり、もう1つは、行政が行っている市民活動支援方策について市民活動団体に知らせるような情報提供である。

 

 

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