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従って、取引きにはこれらの事項を十分考慮の上、交渉を進めることが必要である。
(7) 競争相手国との競争条件の比較
(A) 延払い、船価、品質等条件の比較
イタリア海運界で現在稼働中の各種の輸入船舶の建造国は、英国(貨物船、バルク・キャリア、客船など)をはじめとして、西独(貨物船、コンテナ船など)、フランス(LPGタンカー、貨物船、客船など)、日本(タンカー、貨物船など)、オランダ、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、ベルギーなど多岐にわたっている。
これらは、いずれも技術、経験に富んだ高水準の造船国であり、輸入された船舶も中小型船を主としているので、各国間における品質についての優劣の差は殆どない。
また、延払いの点も国際慣習に従っているので大同小異である。船価については、円高の行方にもよるが、大きな差はないものと思われる。
(B) 輸出対策
イタリアは、恒常的な国際収支赤字国であるので、外資の導入に対しては積極的に促進を図っている。
競争相手国は、これに応えて域内にあるという利点も加えて、イタリアの各産業分野への直接投資によって、それぞれの基盤強化に努力している。
その狙いは、これら産業部門の発展に伴う貿易の拡大、引いては海運力の増強に必要とする船腹の発注を期待するものである。
これに対し、わが国のイタリアヘの直接投資はEC諸国のうち第9位(1951年〜90年上半期累計284件、7億9,800万ドル)と低調であるが、最近におけるイタリアヘの関心の高まりに伴い、わが国の対イタリア投資も増加傾向にある。
一方、イタリア側も92年のEC市場統合に向けて日伊投資交流による貿易拡大を図るため、積極的なアプローチを展開している。
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