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されている。
英国船主が関心を持つのは、短納期と納入期日の厳守である。
支払い条件は、わが国が受注した実績では、現金払い、もしくは延払いの場合には、大部分が70%、7年の延払いを条件としている。
(E)取引レート
英国には、わが国を初め各国の大商社、メーカーが、それぞれ駐在員事務所、出張所、支店などを設置したり、現地法人の会社を設立したりして、絶えず船主との接触、連絡に当たっているので海運界や船主の動向に精通している。
従って、これらの機関を介して、船主との接触を図ることが、取引への適切なルートである。
 
(7)競争相手国との競争条件の比較
 
(A)延払い、船価、品質等条件の比較
現在、英国で稼動している輸入船舶の建造国は、イタリアを初めフランス、オランダ、デンマーク、ドイツ、スペイン、アイルランドなどEC圏内の造船国や北欧のノルウェー、スウェーデン、ポーランドのほか、カナダ、日本など極めて多岐にわたっているが、隻数ではイタリアからの輸入が多い。
これら競争相手国は、概ね国際慣習に従っているので、延払い条件については各国間に目立つような差異はない。
品質の点は、中小型の一般船舶が殆どであり、各国とも経験と実績を豊富にもっているので、技術的に問題がなく、各国とも差異はない。
納期、船価の点は、わが国が優位にある。
なお、船価については、これら西欧造船所は、老朽化した設備の近代化を進めているが、その巨額の減価償却費が重くのしかかっていることや、賃金の急激な上昇、鋼材など材料費の高騰、労働時間の短縮などによる建造コストの上昇が著しく、また、ストによる納期の遅延が多発しており、日韓に比べ競争力が低下しつつある。
 
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