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(B)輸出対策
英国船主が新造船を対外発注する場合、低船価は勿論であるが、納期が確実に守られることを最大の条件にしている。
これは、発注船の納期が遅滞した場合、予定輸送貨物の積載船の変更や代船手配の経費などによる損害を防ぐためである。
従って、競争相手国は、それぞれ短納期、低船価、EC域内という地理的な好条件、税制上の利点などを強調、PRして、英海運界への輸出の促進に力を入れている。
(C)英国に対する歴史的、経済的なつながり
わが国と英国との関係は、1600年に英国人ウイリアム・アダムズ(三浦按針)が九州に漂着し、徳川幕府の外交顧問に抜擢され、鎖国下のわが国と西洋との間の貴重な掛け橋となって活躍したことに始まる。
その後、19世紀後半に鎖国を解いた日本は、英国の産業革命にならって近代化を進め、政治、経済、法律、文化、芸術、科学、技術など、あらゆる分野で英国から学んできた。
このような歴史的背景から、わが国には親英感情が深く根をおろしている。
現在、日英両国は自由、民主主義及び自由な開放された経済体制という政治経済上の価値観を共有し、西側先進諸国の主要メンバーとして緊密な関係を維持しているが、かかる関係が長い歴史上の背景に由来していることが日英両国関係の大きな特色である。貿易関係では、1963年にわが国は英国と通商航海条約を締結した。
英国は、自由貿易を建前としており、対日残存輸入制限品目はない。しかし、英国は日本の特定産品の輸出急増が英国側産業を圧迫しているとして、日本政府、業界に対し輸出自粛を求めており、日本側はこれに対し現在各種の措置を講じている。
90年の英国の対日貿易は輸出が好調で、前年比14.2%増の26億3,200万ポンドとなった。他方、対日輸入は67億6,200万ポンド(前年比4.8%減)で、この結果、英国の対日貿易赤字は41億3,000万ポンドと前年比で14.8%の改善となった。
 
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