工業部門(鉱業、製造業、建設業、電力などを含む)は、労働力の36.5%(90年)を雇用し、91年におけるGDPへの寄与率は48.5%を占めた。
1980〜89年の期間に、工業(建設業を除く)生産は年平均1.1%の割合で増加したが、90年には26%、91年は約14%、それぞれ減少を示した。
製造業部門は、90年には民間労働力の24.7%(89隼は25.2%)を雇用しており、同年における生産高からみると、製造業の主要分野は食料品、機械類、金属および金属製品、繊維織物および衣料、輸送用機器、化学製品などである。
1980〜90年の期間に、製造業の生産は年平均2.2%の割合で減少した。特に繊維、衣服、皮革、食品の落ち込みが著しい。
食品工業の主な品目は、バター、チーズ、ハム、ソーセージ、缶詰ミルク、食肉、砂糖、ウォッカなどである。
繊維工業の生産高は、食料品、機械機器、燃料エネルギーに次いで第4位であるが、原料不足が深刻で生産は低下している。
なお、亜麻はポーランドの名産である。また、ポーランド第2の都市ウッジは繊維工業の中心地である。
化学工業は、原料を主に旧ソ連から輸入する石油に依存しており、プオツクに大石油化学コンビナートがある。主要製品は硫酸、ソーダ灰、苛性ソーダ、アンモニア、化学肥料、エチレン、メタノール、フェノール、合成ゴムなどである。
鉄鋼業は、旧ソ連から輸入する鉄鉱石を原料とし、国産の石炭を使用しているが、問題は設備の老朽化にある。また、鋼材工場の多くは稼働年数が50年近くに達した古いものである。
現在不足している品目も多く、耐蝕性鋼、バイブ、棒鋼、電気機器用鋼板、高張力ドリル鋼、ベアリング鋼など、特殊鋼、高級鋼材に属する品目に多い。
ポーランドで最も有名な大規模の製鉄所は、カドビツェ製鉄所とレーニン製鉄所であるが、ともに南部地方に位置し、北部のバルト海に面した地方には大製鉄所はない。
機械工業では、イタリア・フィアット社の技術ライセンスに基づいて乗用車を生産しているが、モデルが古いうえ、設備の老朽化が著しい。現在、西欧のライセンスを導入して、新小型車を生産し、イタリア、英国、フランス、ドイツなど西欧諸