91年度国家予算は、歳出総額が1兆6,418億フォリント、歳入総額が1兆5,887億フォリントで、531億フォリントの赤字となっている。
ハンガリーの対外債務は、ポーランド、ブルガリアと並んで巨額にのぼっており、国民1人当り債務額としては東欧で最大である。
しかし、ハンガリーは従来一度もリスケジュール(債務返済繰り延べ)を行ったことがなく、経済改革の基本方針となっている新経済再建4カ年計画(1991〜95年)でも債務を確実に返済することを明示し、国際金融界の信用を得ている。
91年末現在における対外累積債務は226億5,800万米ドル(うち192億2,100万ドルは長期公的債務)に達しており、同年の債務の返済と利息の支払いの合計額は、輸出総額の32.5%に相当する大きな金額になっている。
91年のインフレ率は、前年の35%から36.4%へと悪化した。92年12月末現在の失業者数は663,000人に達し、前年の失業率8.3%から12.2%へと更に深刻化した。
失業問題とならんで、インフレ、鉱工業生産、農業生産といった国内経済の不振要因の大幅な改善は期待できそうにないとみられている。
国内需要の低下および旧ソ連・東欧向け輸出の減少が続き、これを西欧向けの輸出増大によってカバーできないとの見方もある。
旧ソ連・東欧の経済困難あるいは不振に、ハンガリー経済は大きな影響を受けていること、ハンガリーの最有力輸出先であるドイツの経済成長の落ち込みといった厳しい外部要因があるため、ハンガリー経済の前途を楽観視することは困難とされている。
91年にハンガリー政府は、競争べ一スで世界経済との完全統合を目標として、新経済4カ年計画を実施した。この新計画の主な特徴は、国有企業の民営化の促進、