しかし、90年中頃から、旧ソ連はハンガリー向け石油輸出を30%削減した。更に91年から、旧ソ連からの輸入を含め旧コメコン諸国取引が、比較的高価格の「世界価格でハードカレンシー決済」原則に移行したことにより、エネルギー輸入コストが急上昇し、大きな外貨負担となっている。
また、エネルギー輸入については、ハンガリーは湾岸戦争発生以来、対イラク債権を原油輸入に利用できないこと、91年9月中旬以来、旧ユーゴスラビア内乱の影響をうけて、唯一の中東原油の輸入ルートとなっているアドリア・パイプラインが停止状態になっていること等不幸な事件に見舞われている。
91年1月〜10月の全石油輸入量のうち、旧ソ連は260万トン、残り160万トンをこのパイプラインを通じて輸入していた。91年現在、ハンガリーにおける電力供給の30%は、原子力発電に依存している。また、全エネルギー供給の30.4%は鉱物性油、28.7%は天然ガス、22.2%は石炭、残る18.7%はその他のエネルギー源によって賄われている。