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 アルゼンチンは、輸出入貨物の自国船優先輸送の達成と、国際海運界における競争力の強化を図るため、自国商船隊の増強に力を入れている。従って、船舶建造の発注に際しては、国内の経済事情を十分に考慮して、船価、納期、代金決済の延払い期間などについて、アルゼンチン側にとって有利な契約条件となることが要請される。

(E)取引ルート

 アルゼンチンは、従来から、商船隊の増強と国内造船所の整備拡充に努力しているが、これは、船腹の増強拡充を国内造船所によって達成することを目的としたものである。
 しかし、現在の国内造船能力だけでは、これを達成することは困難である。
 従って、海外への発注には船舶の早期入手が必要条件になるので、取引きの機会を得るためには、同国の必要とする各種船舶について性能、品質、納期などを、わが国の建造事情から技術的に説明した資料を、海運関係機関、海運会社などにPRして、先方の関心を深めることが取引きへの第1ルートになる。

(7)競争相手国との競争条件の比較

(A)延払い、船価、品質等条件の比較

 アルゼンチンが輸入した船舶は、旧西独、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーなど欧州造船国で建造されているが、大体5〜6,000 G/Tから20,000 G/T前後の一般貨物船、5,000 G/T前後から35,000 G/T程度のオイル・タンカーが主である。
 従って、特に高度の技術を必要としないため、いずれの国の製品も品質の点については優劣の差は殆どみられない。
 また、船価についても、西欧各造船国間では大きな差はなく、延払いの条件でも国際慣行に従っているので同様である。
 わが国は、円高の影響で船価の点で不利となるが、納期については他国に比べ優位にあると思われる。

(B)輸出対策

 

 

 

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