本来は右舷曳きのサイド・トロール船であっても、船尾両舷に小型のガロース(fallows)を取り付け、引き網をトロールウインチから一旦船首方向にあるボラードに持っていき、一般のサイド・トロールでは引き網を2本とも右舷にまわすが、この場合はそれぞれの引き網を外側にまわして、船尾のガロースに止める。網は船尾で曳き、右舷から揚げる。
Barco 漁船は、サイド・トロール型またはスターン・トロール型で、通常15〜20人乗組み、1週間航海して2日休む。
この型の漁船は、電子計器を駆使して大陸棚のみでなく、大陸傾斜面でも普通の底曳きのほかに中層曳きや網口を高くする曳き網法を行う。100トン以上の船の漁獲量は、トン当り年間13.5トンという大きな値である(日本は11.5トン)。
サイド・トロール型の操業法と旋網を行うことは、Barcito 漁船の場合と同じである。一部のサイド・トロール船は、甲板上に簡単な漁獲物処理機械がある。
Barco漁船の殆どが電波探知機(カラー表示、自動警報装置付き)、方向探知機、人工衛星航法装置、ジャイロコンパス(自動舵取機付き)、ネットレコーダー、水中音波探知機などを装置し、一部はオメガ航法装置、ファクシミリなどがある。
その他、ラジオブイやレーダーブイ(リフレクター)が使用され、中短波(SSB)、超短波(VHS)無線電話と航海安全のための無線電話(2182KH2)を装備している。
Barco 以上の漁船では、大陸傾斜面操業、中層曳き、網口を高くして海底からやや離れた魚を捕獲するための曳網法が行われているので、魚群探知機、水中音波探知機、ネットレコーダーなどに関する教育を必要とする。
このように、アルゼンチンの各種漁船は、漁業用電子機器が普及しているが、これらの機器が航海中に故障しても、船上では殆ど修理していない。修理は帰港後、マル・デル・プラタ港の修理施設で行われている。