(C)輸入資金の調達状況
トリニダードトバゴが必要とする船舶は、タンカー、貨物船、漁船などいずれも中小型の一般の船舶であるので、船価も大きな額ではない。
また、輸入に必要な外貨申請は、産業企業観光省がチェックし、承認を行なうが、共産圏から輸入する場合を除き、殆ど自由で何の制約を受けることなく承認される。従って、船主の自己資金の保有があれば、輸入代金支払いのための外貨は容易に調達することができる。
(D)契約条件
わが国からトリニダードトバゴヘの新造船輸出については実績が乏しいので、契約条件の交渉時の要求内容や結果に関する資料がないが、前述のように一般の中小型船が対象であるから、仕様書上の特別な条件はないものと考えられる。また、船価も比較的小額になるので、支払いについても通常の現金払いなどの形で契約されるものと思われる。
(E)取引ルート
トリニダードトバゴは国土が狭く、人口も少ない小国であるので、経済成長を遂げても市場としての規模は小さいため、大きな期待はできない。
殊に、英連邦諸国からの輸入を優先させることを国是としている国であり、宗主国の英国が強固な基盤を構築して、海運界を支配しているので、船舶輸出の実績が乏しいわが国が、この中に割り込むのは容易ではない。
また、同国は、日本の造船事情については概念的知識を持っているとしても、深い正確な認識を持っているとは思われない。
従って、これに対応するためには、まず、わが国の最近における造船事情、技術、納期その他についての優秀性を認識させるためのPRを行なうことが必要であり、これが取引きのチャンスを得る重要な手段であり、かつルートである。
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