(7)競争相手国との競争条件の比較
(A)延払い、船価、品質等条件の比較
トリニダードトバゴの保有船価は、数隻の米国建造船と、その他は殆とが英国および英連邦国から輸入したものであり、84年建造の8,823G/Tケミカル・タンカー2および86年建造のLPGタンカー1,322G/T1隻を除げば、いずれも1,000G/T前後から2,000G/T前後までの小型船舶である。
従って、品質はもとより、建造上の比較では優劣はないといえよう。また、建造国の労働事情、労働賃金なども類似の状態にあるから、使用工数の少ないこれら小型船舶の船価についても大差はないものと考えられる。
(B)輸出対策
トリニダードトバゴは、市場が極めて狭小である上に、英連邦依存の国情であることと、地理的に最も有利な米国を控えていることなどからして、他の造船国は積極的な船舶輸出対策を講じて、この国へ進出するという動きはみられない。
(C)トリニダードトバゴに対する歴史的、経済的なつながり
トリニダード島は、1498年7月にコロンブスによって発見され、スペイン領となった。スペインの支配は3世紀続いたが、1779年、英国によって占領され1802年のアミアン条約によって正式に英国に割譲された。
一方、トバゴ島は1596年に英国人船長によって発見され、その後2世紀にわたってオランダ、英国、フランスの領有下にあったが、1814年以降英領となった。
両島における砂糖園経営のために多数のアフリカ人奴隷が導入されてきたが、1834年奴隷制度が廃止されると共に、インド人、ポルトガル人、中国人、自由なアフリカ人などが相次いで契約労働者として導入され、人口が急速に増加した。
1889年4月両島は合併され、英国植民地トリニダードトバゴとなった。
その後、英領カリブ諸国に起きた自治権拡大要求がトリニダードにも波及し、遂に1962年8月に独立国となり、同年9月には国連に、1967年には米州機構および米州開発銀行にそれぞれ加盟した。
また、カリブ海域では、1968年にカリブ自由貿易連合(CA則FTA)の設立に努
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