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(8)メキシコに対する歴史的・経済的なつながり

 メキシコは、有史前から幾多の民族が独自の高い文化を持って栄えていた。14世紀に至って、現在のメキシコ・シティーを中心に強力なアステカ帝国が建設された。
 しかし、1519年にスペイン軍がメキシコに侵入し、1521年にアステカ帝国を征服し、スペインの植民地となった。
 1810年に奴隷開放を叫ぶ独立運動が活発化し、1821年に至って独立を達成し、1824年に新憲法が制定され、メキシコ共和国となった。
 1848年にテキサスの領有権をめぐる米国との戦争に敗北した結果、メキシコは国土の半分近くに相当するテキサスとカリフォルニアを米に割譲するに至った。
 以来、幾多の政変、英、佛、スペインなど外国列強の干渉による苦しい時代が続いた。
 1971年には現行憲法が公布され、メキシコは立憲民主制による連邦共和国となり、正式の国名をメキシコ合衆国(Estados Unidos Mexicanos)とした。
 メキシコは、中道主義、内政不干渉、民族自決、紛争の平和解決を外交上の基本原則とし、すべての国家と友好関係を維持、発展させることを基本方針としている。
 現サリーナス政権下においても、メキシコの対外政策は変わらず、経済・社会・文化関係における国際的な相互依存関係を強化している。
 具体的には、米国とは最重要関係との認識の下、債務、貿易、麻薬、移民労働者などの重要問題について協力強化、カナダとは関係の緊密化、ラテン・アメリカ諸国とは地域協力関係の強化、ECとはEC統合市場との関係強化、更に環太平洋国家、とくに日本との関係の緊密化、ソ連、印度、中国、アジア、アフリカ諸国とも友好関係の維持を図ると共に、世界平和、軍縮促進のため、国連その他の国際機関を通じて積極的な外交の展開を志向している。
 メキシコは又、中南米主要8カ国(メキシコ、コロンビア、ベネズエラ、パナマ、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、ヘルー)で構成され、中南米の諸問題を討議するリオ・グルーブ(G8)の主要メンバーとして、中米紛争、地域統合、累積債務、麻薬などの問題解決に向けて重要な役割を果たしている。

 

 

 

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