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 船など特殊性の強い船舶の建造は、先進造船国の領域に属しており、新興造船国にとっては不利といえよう。
 この点、わが国を含み先進各競争国間には、それぞれ独自の工法はあるが、全体的には品質、性能において優劣の差は少ないと思われる。
 船価についても同様であるが、わが国は最近の円高傾向を無視することはできない。

  (B)輸出対策

 モロッコは、自国経済の基盤となっている農業が、天候条件に大きく支配されるため、経済の安定と発展を図るための開発5ヵ年計画(1988〜92年)を策定し、産業の多様化、工業化に努力している。
 しかし、他の新興国と同様にモロッコも、技術、経験、人材、資金の不足からして、先進諸国の技術、経済両面での協力を期待している。
 また、モロッコは非同盟、中立主義を堅持しているので、東西両障営の何れにも偏することなく、どの国の援助も積極的に受け入れている。それ故、先進競争相手国は、モロッコの開発計画に沿って、それぞれ積極的に支援を与え協力している。
 これは、単にモロッコを利するのみでなく、経済・技術協力を通じて彼我の親近感を深め、引いてはモロッコの相手国に対する理解、信頼、依存度の増進、向上につながり、将来の輸出拡大、進展の基礎となる堅実な輸出対策であるからである。
 かつての宗主国フランスやスペイン、特にフランスは、モロッコの独立以来、経済・財政援助、政府借款供与、無償技術協力などを行っており、モロッコにとって最大の援助協力国となっている。
 米国は、プロジェクト・べ一スの借款のほか、食糧無償供与などの形で、援助を与えており、これに続いて西独、イタリア、ソ連、ベルギー、デンマーク、ユーゴなどが、それぞれの思惑で協力し、将来の輸出促進のための基盤づくり

 

 

 

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