でも重要視されている部門の一つであるが、経済活動を主導するまでに成長しておらず、生産も国内の一次産品の加工、国内用の消費財の製造が主力となっている。比較的順調な成長を示している業種は、食品加工、飲料・タバコ、繊維・織物、皮革製品、化学、卑金属などである。
食品加工業では、製粉、製糖などの国内向けのほか、果物ジュース、魚・野菜・果物缶詰など輸出を主体とする生産も行なっている。
繊維工業は、投資法の改正により民間投資が活発化した結果、輸出できるまでに成長している。現在、繊維工場数は800を超え、工場労働者総数の25%程度をかかえている。繊維生産は、国内市場とフランスをはじめとするEC諸国を中心とした海外市場の需要によって支えられている。
化学部門は、燐酸と化学肥料が中心で、年平均18%の高い伸び率を示している。これは、国内産の燐鉱石に付加価値をつけて輸出するという政府の方針に沿って、同部門への投資が急増し、生産が飛躍的に伸びたことによる。
機械部門では自動車組立てが中心である。このほか、セメントなどの建設資材、製陶、製紙などの生産が順調である。
製造業は、カサプランカ(冶金、自動車組立、製糖、医薬品)、フェズ、ラバット、ムハマディア(繊維・繊物)、サフィ(化学品、肥料、魚加工)およびアガディール(魚加工、缶詰工場)に集中している。セメントは10工場あって、年産400万トン(87年)に達しており、既に自給が可能である。