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 農業生産は、オリーブ、果物、綿花をはじめとする輸出用商品作物が主体であり、国内向け穀物は少ない。
 これは、特定作物の供給源を植民地ごとに設定し生産させていた旧宗主国フランスの植民地政策が、現在でも農業生産形態に影響を及ぼしているためである。また、灌漑設備も特定地域に偏在しており、生産が天候に左右され易い体質は改善されていない。このため、農業国にも拘らず、輸入に占める食料の比率は比較的に大きい。87年の穀物生産は、早 と大群のイナゴの襲来に因る大被害を受け、88年の食料輸入は200万トンに達したものと推定される。
 牧畜は、チュニジアにとっては砂漠地帯住民の主要産業であり、政府の牧畜奨励政策により、家畜保有頭数(86年)は牛(643,000頭)、羊(530万頭)、山羊(110万頭)、馬(6万頭)、ろぱ(22万頭)、らぱ(8万頭)、路駝(18万頭)に増加している。
 チュニジアにおける自然林は、北部から西部にかけて25万4,000ヘクタール存在し、主として北部地方に11万4,000ヘクタールの植林が行われている。木の種類としては、コルク、椰子、樫、松、樅類などがあり、年間コルク8,400トン、ブライヤ700トンを産出する。また、下級材として燃料材267万立方m、鉄道枕木材2,000立方m、パルプ材15,000立方m、炭坑枠材その他工業用材82,000立方mを産出している。
 鉱物資源としては燐鉱石、鉄鉱石、鉛鉱、亜鉛鉱などを産出しているが、いずれもそれだけで経済を支えるには規模が小さい。石油も単一商品としては最大の輸出商品となっているが、産出量は少ない。
 燐鉱石と原油を中心とする鉱物資源は、87年に券ける輸出の41%を占め一る重要な輸出商品である。

 

 

 

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