
天然ガスは、液化天然ガス(LNG)としてフランス、ベルギー、スペインヘ輸出されており、また、パイプラインにより直接気体のままでチュニジアヘ、更に地中海横断パイプラインによりイタリアヘも輸出されている。北米市場へは、LNGとして輸出されていたが、価格の点で一時供給が中止された。しかし87年から再開され、輸出量は拡大しつつある。また、英国へも短期契約で輸出されている。わが国は、88年にアルジェリア産液化天然ガス(LNG)の初輸入が開始されている。なお、パイプラインの増強により、92年頃からギリシア、トルコ、ユーゴスラビアなどへ新規供給開始が予定されている。 アルジェリアは、内陸に位置したハシメサウドを初めとする油田群、ハシルメルに代表されるガス田と、地中海岸にある3つの工業拠点(首都アルジェ、西部のオランとアルズー、東部のスキクダ)および炭化水素積出し港のベジァイアを石油・ガス・パイプラインが結んでいる。 原油パイプラインで主要なものは、ハシメサウドとベジァイア港を結ぶ原油輸出用の24インチ配管、同じくハシメサウドとアルズー、スキクダを結ぶそれぞれ28インチ、34インチ配管(輸出と、アルズー、スキクダ両製油所への原料供給)、インアムナス油田とチュニジアのスキーラ港を結ぶ原油輸出用の24インチ配管、およびインアムナス油田とハシメサウド油田を結ぶ30インチ配管である。 次に、ガス・パイプラインで主要なものは、ハシルメルとスキクダ港を結ぶ40インチ配管、ハシルメルとアルズー港を結ぶ3本の40インチ配管、ハシルメルからチュニジア経由で地中海を横断してイタリアに至る地中海パイプラインなどである。 特に、この地中海パイプラインの完成は、アルジェリア産の天然ガスを気体のまま直接海外へ輸出することを可能にしており、これまで、輸出のための施設建設に巨大な投資を必要とし、しかも効率の悪い液化輸出を強いられていたアルジェリア天然ガスの輸出上、極めて重要な意義をもつこととなった。 天然ガス輸出の3分の1近い量が、このパイプラインを経由してイタリアに輸出されている。現在、このパイプラインをイタリアからユーゴスラビアに延長して、アルジェリアの天然ガスをユーゴヘ供給する計画があり、また同時に、現存パイプラインの増強(年間輸送能力160億m3から220億m3へ)も検討されている。
前ページ 目次へ 次ページ
|

|