元来、住民は伝統的に漁業、天然真珠の採集や貿易に従事していたが、国内に莫大な石油埋蔵が発見され、輸出が開始されて以来、連邦の経済は本質的に好転し、極めて高度の物質的繁栄をもたらした。
世銀の推定によると、連邦の1人当りの国民総生産(GNP)は85年に平均19,270米ドルに達しており、世界各国のうちでも最高水準を示している。
88年5月現在における連邦の石油埋蔵量は、328億5,000万バレルと推定されており、現在の採掘水準からして、今後90年間は枯渇しないものといわれている。
アラブ首長国連邦の原油は、低比重の高品質な油であり、70年代には世界各国から最高に評価されていたが、80年代中頃から開発された精油技術の進歩に伴って、連邦国産の原油の特性は、それ程重要視されなくなった。
アラブ首長国連邦における天然ガスの埋蔵は、その殆とがアブダビで発見されており、88年1月現在の埋蔵量は5兆1,970億立方mと推定されている。
現在、アラブ首長国連邦における大産油国は、アブダビ、ドバイの両首長国である。連邦の殆ど全ての石油生産は、この両首長国から採掘された原油によるものである。
鉱業部門は、石油と天然ガスが主体であるが、連邦労働人口の僅か2,1%を雇用しているに過ぎない。しかし、国内総生産(GDP)への寄与率は43%も占めており、農業部門の寄与率1%と比べ極めて大きなシェアを占めている。
石油部門の国内総生産(GDP)に占めるシェアは、85年の447億700万デイルハムが86年には261億7,100万デイルハムヘと激減した。(100ディルハム:約27.2米ドル)。