(1)一般事情
アラブ首長国連邦は、国土の殆どが砂丘の砂漠地帯や塩分を合んだ平地から成り、降雨量不足に加えて地下水源の限界という制約を受けているため、農耕適地は極めて限られている。
アラブ首長国連邦のうちで、最も農業が盛んで、かつ農業開発の可能性の高いのは、ラス・アル・カイマである。同首長国の人口(約12万人)の大部分は農業に従事し、他の首長国に果物、野菜、飼料などを供給している。
次いで農業が盛んなのはアブダビ首長国で、ここではデーツなどの果樹が栽培されている。
シャルジャ首長国では、酪農、養鶏が行われている。アジュマン、ウム・アル・カイワン両首長国では、農業は極めて限られている。フジャイラ首長国は、農業の規模が比較的大きく、タバコ、野菜、デーツ、メロン、トマトなどが生産されている。
農業部門では、88年に野菜38万トン、果物33万トンを輸入に依存している。食用家禽類は国内需要の45%、鶏卵は70%を満たしている。主要食糧の小麦は、政府の開発計画(83〜93年)の実施により、2000年までに自給が可能になるものと期待されている。