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 しかし、それでも現在は、クウェートの最大工業部門である石油・ガス工業のほかに肥料、紙、食料品、繊維、セメント、金属バイブ、タイル、家具、包装などの企業が生産活動を行っている。
 このほか、湾岸諸国との合弁企業がアルミニウム、石油化学品などを生産しており、チュニジアとの合弁企業は燐酸肥料を生産している。尿素、アンモニア製品など年間165万トンの生産能力をもつ肥料工場もある。目下建設中のポリプロピレン工場は、89年末までに完成し、操業を開始する予定である。
 海水淡水化ブラントの設置は、70年代から相次いで行われ、工業用水とそれを利用した電力の供給が拡大し、海水蒸留に関連した工業(塩、苛性ソーダ、塩素など)も発展してきた。
 軽工業部門の発展は、クウェート政府が株式の51%を保有するNational Industries Co.(NIC)が管理し、石油関連を中心とした重化学工業の育成はPetrochemical IndustriesCo.(PIC)が担当して、輸出向け製油所、金属製品、石油化学コンビナートなどの大規模工場が次々と設立された。同工業団地は現在、湾岸地域最大の工業地帯になっている。
 現在、シュアイバ工業団地のほかにミナ・アブドラに工業団地があり、シュアイバ(Shuaiba)、ミナ・アブドラ(Mina Abdulla)の両工業団地にはクウェート工業の大半が集中している。
 年間降雨量の少ないクウェートにとって水の供給は、イラクとの国境付近の地下水で一部(国内消費量の約10%)を賄っているが、水供給の大部分は、海水の淡水化に依存している。クウェート政府は、水消費量の増大に伴い、淡水化ブラントの建設を行っているが、2000年には全設備能力は1日当り5億ガロンに達するとしている。
 また、国民の生活水準の向上に伴い、電力消費量は急速に伸びている。現在、国内の6ヶ所に発電所があり、発電能力は83年に125億kWhであったが、85年には165億kWhに達している。
 このほか、クウェート政府は原子力発電所の建設にも強い関心を示している。既に原子力発電所の操業にそなえて、クウェート人がカナダで技術訓練を受けており、

 

 

 

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