(D)契約条件
サウジアラビアにおける船舶などの資本財の輸入は、従来、国際入札、指名入札などによる場合が多いが、一番札が必ず落札者となるとは限っていない。開札後のネゴが重要な要素となる。
サウジアラビアは外貨事情が良く、従って対外決済は現金払いとなる例が多いので、延払い条件などは余り問題にならない。
サウジアラピアは海運に対する経歴が浅く、また海員も不足している。従って、海員の教育、指導を兼ねる保証技師の一定期間乗組みも条件の一つとして注目される。
また、特に最近では、Saudi Basic Industries Corporati?(SBIC)と日本企業との合弁による石油化学ブロジェクトの開始に伴い、石油化学製品の輸出が急増しており、自国輸送船隊の早期増強に力を入れているので、船価よりも短納期という条件が契約の決定に影響する場合もある。
(E)取引ルート
サウジアラビアは、第4次開発5カ年計画(86〜90年度)に基づいて、自国船による優先輸送の促進を図るため、貨物輸送面の開発には商船隊の強化、海員の育成に努力している。
また、サウジアラビア籍船舶は、国営、民営の別なく、優先的に石油輸送に参加できるので、欧米企業出資の合弁海運会社の船舶需要は活発である。
従って、取引きの機会を捕えるためには、経済船、納期、操作、取扱いなどの点を中心にサービス・エンジニアによる技術的説明、PRを積極的に行うことが必要である。
このような技術者による働きかけが、営業部員の受注活動と共に実施され、サウジアラビア側の船舶輸入当事者と接触することが、船舶取引きへのルートとなる。