日本財団 図書館


 礎産業公社)などの政府出資部門と、国内市場向けの小規模な民間部門とに大別することができる。
 Sabic主導の政府出資部門は、資金・技術の両面で民間では困難な重化学工業部門の開発を外国企業(米国、日本、西独、フランス、英国、イタリア、フィンランド、台湾など)と合弁で進めている石油化学を中心とした工業関連の大型プロジェクトであり、既にジェッダ製鋼所、サウジ鉄鉱会社、ジュベイル肥料会社、サウジ・メタノール会社、ヤンブー石油化学会社などが稼動している。
 一方、Petrominの石油精製・ガス関連プロジェクトでは、ヤンブーの内需用および輸出用の精油所、潤滑油工場、LPG(液化石油ガス)工場、ガス分離工場などが相次いで完成し稼動している。
 他方、民間部門では、政府の同部門の振興のための助成策、(1)機械、設備、部品、原材料および半製品の輸入関税の撤廃、(2)低利の資金融資の実施、(3)工業用地、電力、工業用水などの低価格での供給、(4)政府関係プロジェクトの優先発注などにより、建材関係工業(セメントなど)、金属品工業、食品工業、化学工業(尿素など)を含む各業種の成果が着々と上ってきている。
 87年の国内経済で目立った動きとしては、大型プロジェクト建設、例えば、アラムコによるアプカイークとヤンブー間のパイプライン、ヤンブーの潤滑油精製ブラント、アルバイタールの燐酸肥料工場、地下原油備蓄施設などが稼動している。
 また、Sabicは、これまでは外国企業との共同輸出が多かったが、独自の輸出ルートを開拓し、87年には前年の3倍にのぼる売り上げを記録し、前年の4倍の純利益を計上している。
 また、政府が工業化推進のために設立したNIC(国家産業公社)は、政府系金融機関からの融資をもとに、二酸化チタン工場を紅海沿岸のヤンブーに建設し、米国や周辺のアラブ市場への製品輸出を計画している。
 サウジアラビアは、ペルシア湾沿岸に沿った比較的肥沃な農耕地を除いては、国土の大部分が乾燥した砂漠から成り、農業が可能な面積は国土の僅か1%に当たる200万ヘクタールと推定されている。
 主要農産物は、小麦、ソルガム、ナツメヤシ、野菜、果物、大麦などであるが、

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION