生産量は過酷な天侯下にあるため、年によって変動が大きい。政府は、主要食糧の輸入依存度を下げると共に、遊牧民の定着化と所得の向上を図るため積極的な農業振興策を講じている。その結果、主食である小麦生産は、耕地面積、生産量ともに近年急速な増加を示しており、79年の僅か3万トンが、87年には280万トンに達し、その一部は既に輸出に向けられている。
サウジアラビアは、主として原油と石油製品を輸出して、工業製品、原材料、食糧(小麦を除く)から軍需品に至るまで、全ての商品を輸入に依存する貿易構造をもっている。
87年の輸出は232億2,000万ドル(前年比17%増)、輸入は190億5,000万ドル(同3.1%増)、貿易収支は41億7,000万ドルと前年の4倍に近い黒字となっている。
輸出総額の90%(87年)を占める原油の輸出は、87年の生産量が15億4,000万バレルと前年比3億バレル減少したが、輸出額は約210億ドル(前年比16.7%増)に上昇している。しかし、今後は輸出における石油製品の原油に対する比率が徐々に高くなり、小麦の輸出も続くものと思われる。
また、輸出に関しては、今後は原油よりも石油精製あるいは石油化学製品として付加価値を高めたものを中心とし、原油価格の変動の影響を受けないように努力している。88年には製品市場の好況に恵まれて、その輸出は飛躍的に増大している。
輸出先を国別にみると、最大の輸出先は日本で、最近数年間は輸出総額の20〜30%を占めている。次いで、米国、イタリア、オランダ、フランス、西独、英国など西欧先進工業国向け輸出が上位を占めている。
サウジアラビアは、大部分の工業製品と多くの食料品を輸入に依存している。輸入品目のうちで比率の大きいのは鉄鋼とその製品、機械類、電気機器、輸送機器、繊維製品、食料品などであり、多岐にわたっている。
輸入先では、86年には米国が最大の供給国で総額の17%以上を占め、日本が米国に統いていたが、87年の最大の輸入相手国は日本で、以下、米国、英国、西独、イタリアの順となっている。