日本財団 図書館


  (C)歴史的、経済的なつながり

 フィリピンは、400年にも及ぶスペインや米国の植民地支配地時代を経て、第2次世界大戦終了後の1946年7月4日にフィリピン共和国として米国から独立した。
 しかし、独立後も引続き米依存体制が継続され、フィリピンと米国との通商関係は米国に有利なものとなって展開された。
 この結果、フィリピンは米国の独占市場となると共に、一次産品を輸出し、工業製品を輸入するという典型的な発展途上国型の貿易構造をもつこととなった。
 フィリピンの対米依存は、その後1974年に米比通商協定が執行するまだ続き、本格的にフィリピン独自の対外経済関係が樹立されたのは、それ以後のことである。
 対米関係は、92年11月に在フィリピン米軍が全面撤退した事実を踏まえ、従来の軍事・政治に偏重した関係から、貿易・投資に重点を置いた関係へと再構築が行われつつある。
 また、国内経済再建の観点から、日本およびASEANを含むアジア諸国との経済協力関係の緊密化を推進中である。
 フィリピンは、わが国にとって最も近い隣国に一つであること、わが国の重要航路の枢要な位置を占めていること、わが国の経済発展に不可欠な原材料の供給国として、また、わが国からの資本財の輸出市場として貿易関係が密接であること、同じアジア人であること等の理由から、日比両国は本来緊密な協力のパートナーとなるべき客観的条件を備えており、今後とも政治、経済、文化など各分野に亘って日比友好協力関係の一層の発展が期待されている。
 貿易関係では、フィリピンにとって日本は、輸出(94年)では第2位(輸出総額に占めるシェアは15.0%)輸出(同年)では第1位(同24.4%)で、重要な貿易相手国となっている。
 日本からの輸入は、電気・電子部品、自動車部品、発電機用部品など原材料・部品および資本財が圧倒的なシェアを占めている。
 一方、フィリピンからの輸出は従来、エビ、バナナ、銅精鋼など、農産物や鉱産物が太宗を占めていたが、最近では現地における日系企業の定着に伴って、自動車ワイヤーハーネス、半導体部品、家電など電気製品および同部品、コンピュータ部品、衣料品などが増加傾向にある。
 94年の対日輸出は20億1,200万ドル、対日輸入は51億7,300万ドルであり、貿易収支は89年移行フィリピン側の赤字傾向にある。
 94年の対日貿易赤字は、残念の22億6,400万ドルから31億6,400万ドルと過去最高となった。
 主要輸出品の中で、1位は冷凍エビ、2位はバナナで、依然として農水産品が上位を占めたが、伸び率は低調であった。これに対し、ワイヤーハーネス、半導体部品など工業製品の伸び率は著しかった。
 一方、輸入では、円高傾向により日本企業が生産拠点を、投資環境の改善が著しいフィリ

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION