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 関税評価基準については、従来のCIFベース(国内の消費価格)から実質的にGOBべース(取引価格)に変更されている。
 関税体系は、基本的には一般税率を全ての国に対し適用する単税制を採用している。
 1981〜85年の5段階関税引下げの結果、最高税率は100%から50%に下がった。機械類など生産財および原料その他の必需物資に対しては、低率の税が課せられている。
 米国・フィリピン特恵貿易協定が74年に失効し、一般特恵関税受益国となった以後、フィリピンはESCAP諸国やACEAN諸国と特恵貿易協定を締結し、実施している。更に、フィリピン政府は、AFTA(アセアン自由貿易協定)を推進のための実行手段である共通効果特恵関税(CEPT)の最終リスト作成に取り組んでいる。
 フィリピンの為替管理は、通貨委員会の政策に沿って中央銀行が決定し、公認為替銀行に日常の管理を委託している。中央銀行が決定した為替管理規制は、回章あるいはメモランダムの形で発表されている。
 輸入代金の決済には、L/C、D/A(Deposit Account)O/A(Open Account)などの方法があるが、1,000米ドルを超える輸入に対しては、L/Cべースが原則となっている。
 また、対外支払いには通貨制限はない。

  (C)輸入資金の調達状況

 船舶は、フィリピン経済の発展に必要とする海運を強化するための最も重要な資本財である。
 従って、フィリピン船主が輸入資金を調達する場合、自己資金ほかにフィリピン開発銀行(Development Bank of the Philippines-DBP)またはフィリピン民間開発会社(Pr-ivate Development Corporation of the Philippines-PDCP)から融資を受ける際、船舶については重要な優先資本財として問題はなく、また輸入代金支払いのためにも外貨も中央銀行の事前許可を得て、取引銀行で購入するが、これも船舶の性格からして円滑に事務的に処理することができるので問題はない。

  (D)契約条件

 わが国からフィリピンヘは、中・小型貨物船、漁船などか多数輸出されているが、これらの多くは中古船であり、延払いで輸出されたものが多い。
 これは、フィリピンの経済事情、資金面などを考慮した結果である。
 一般にフィリピン船主は、自己資金のほかに民間長期金融会社から融資を受けるが、金利が高率であるため、これをカバーするよう、新造船を契約する場合には、低船価もさることながら、最大限の長期クレジット供与と低率の金利が契約上の必須条件として要求される。

 

 

 

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