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 1970年代にエネルギー危機を経験したフィリピンは、国産エネルギー源の開発および石油の輸入への依存度の低下を目指したエネルギー計画を実施しているが、フィリピン経済の成長を反映して、国内エネルギー消費の増加傾向にある中で、輸入エネルギー源(石油および石炭)は、1993年には依存として全エネルギー供給の68%を占めている。
 貿易関係では、近年、フィリピンにおける急激な工業化を背景に、輸出ではココナツ製品、砂糖、林産物、果物・野菜類、鉱産物など、伝統的輸出商品の比重が徐々に低下し、電気・電子製品、繊維・衣料品、自動車部品などのウエイトが急速に高まっている。輸入では、積極的な外資導入によって、原材料、資本財の輸入が急増しており、94年では輸人総額に占める資本財の割合は30%強となっている。
 フィリピンの貿易相手国では、米国が第1位(94年は貿易総額の26.1%〕、日本が第2位(同20.7%)となっている。
 94年のフィリピンの輸出は134億3,300万ドル(前年比18.1%増)、輸入は212億3,200万ドル(同20.7%増)となった。
 活発な外国からの投資を反映して、輸入が原材料・部品を中心に輸出を上回る伸びを示した結果、貿易赤字額は前年の62億2,200万ドルを更新し、過去最高の77億9,900万ドルとなった。

 

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 94年の輸出を国・地域別にみると、米国向けが51億2,800万ドル(輸出総額の38.2%)で最大の輸出先である。
 米国向けは米国多国籍企業などによって委託生産された半導体デバイス、電気・電子部品、、衣料品が太宗を占めている。日系電気・通信機メーカーからの対米輸出もこれに寄与している。
 EU向けは、半導体デバイス、集積回路などの電子部品に加え、国際市況の回復を反映したココナツ油などが好調で、22億9,500万ドルに達した。
 アジアNIES向け及びASEAN向けも好調で、高い伸びを示し、両者を合わせると総額でEU向けを初めて上回った。
 これは、域内の高度成長に伴う需要の高まりに加え、日本企業を始め生産拠点をこの地域にシフトした企業の増加により、関連企業間での原材料・部品の域内調達が活発化してきたこと

 

 

 

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