
その観点からして、スリランカ政府は、世銀(WB)・国際通貨基金(IMF)の勧告を受け入れ、IMFとの間で構造調整政策の枠組みについて合意し、経済成長率の引き上げ、インフレの抑制、経常収支赤字の縮小を目標として、政府の歳出削減、税制改革、公的企業の改革などを行うこととしている。
また、国際収支バランスの正常化に向け、外貨獲得力のある輸出向型産業の育成・発展に力を入れており、工業化戦略計画を実施している。 また、政府は雇用対策として、生産的雇用確保を通じて貧困層の能力と資産基礎の確立を支援することを目的とする貧困撲滅計画を実施している。同計画の実施については、構造調整計画の関係で歳出削減や合理化を求めるIMF・世銀と協議を進めている。 また、雇用機会の創出を目的として、国内に200の繊維工場を建設する計画を提唱し、既に実施の段階にある。
スリランカの公的部門は肥大しており、その効率の悪さが成長の足かせとなっている。 雇用の面でみると、中央・地方政府、政府機関、公社など、公的部門の1991年度の就業者総数は1,307,000人にも達しており、スリランカ全体の就業人口5,132,000人の25%も占めている。 更にまた、スリランカの国家歳出規模は、国内総生産(GDP)の30%を超え、その赤字はGDPの11%にも達している。 中央政府の公務員の給与、補助金支出額は、対GDP比で、それぞれ5%、7%にもなっている。 公社については、約130社、60万人以上の人員を抱え、その生産はGDPの8%程度を占めているが、民間部門に比べ生産の伸び率が著しく停滞しているのが実情である。
1992年の経済をみると、年初の旱魃により紅茶などの農業生産は低下したが、工業品輸出の増加などによって国際収支がやや改善し、GDPの経済成長率は前年の
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