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(C)漁業開発計画

 漁業振興に関する行政官庁は、食糧・農業省で、この中に水産庁(イスラマバード)があり、その下部機関として連邦水産局(カラチ)がある。
 水産庁は、国全体の水産振興計画の策定などの企画部門であり、連邦水産局はEEZ(排他的経済水域)内における漁業の監督、振興、検査、研究など、水産行政の実施部門となっている。
 また、国内4州のうち、バルチスタン州とシンド州にも水産局があり、管轄地域における内水漁業および沿岸漁業の監督、保護育成、振興に責任を有している。

 

 政府は、水産業を重要産業の一つとして、水産業の発展に力を入れており、国連(UNDP)をはじめ、世銀、アジア開銀、英国、日本など海外からの援助による調査協力プロジェクトが実施され、また近年には政府と国連のUNDP(途上国開発計画)・FAO(食糧農業委員会)との共同で、海洋漁業開発計画が実施されている。

 

また、政府は、第7次5ヵ年計画(88〜93年度)においても引き続き水産部門を重視して、漁港などインフラ部門の整備、漁船の近代化などを推進しているが、依然として漁港、冷凍保蔵・輸送施設などの不備が指摘されており、これらの問題が改善されない限り、同国の漁業の本格的発展は難しいとされている。
 このため、政府は引き続き、漁船の動力化・機械化の促進、漁労技術の改善、漁港および陸上施設の整備拡充、クレジット枠の拡大などの施策を推進していくとしている。
 これらの施策の実施に当っては、更に国際機関、日本、英国、ドイツなど先進諸国からの援助を必要とするものと予想されている。
 なお、動力漁船の建造に当っては、低利融資のほか、機関や資機材の輸入税の免除などの優遇措置も講じられている。
 また、漁港の整備拡充については、既にカラチ漁港の拡張計画や、バルチスタン沿岸のパスニに新漁港の建設計画がアジア開発銀行などの援助により実現され、稼働している。

 

 

 

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