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(4)造船事情

 パキスタンには、国営のKarachiShipyard&Engineeri?WorksLtd。(KSEW)がパキスタン唯一の本格的な鋼船造船所として存在するが、その他は極く小型の鋼船、バージ等を建造・修理する零細な民間の造船所や沖修理業者が数社あるに過ぎない。
 また、パキスタンには伝統的な木船造船所が多数あるが、その実態は明らかでない。

 

 前述のKSEW社は、1957年にドイツの協力により設立された造船所で、払込資本金全額を政府が出資している完全な国営企業である。
 同社の従業員総数は約5,000人(うち造船関係は約1,500人)といわれ、最大26,000DWTまでの船舶の建造・修理が可能となっている。
 同社の創業以来の建造実績は200隻を超えるが、代表的なものとしては1966年に建造された同社で最初の12,500DWTの外航貨物船、中東向け特殊タグ、イラン海軍向け小型高速艇19隻、中国向け4,500DWTのバルク・キャリアがあり、最近のものとしては、Pakistan National Shipping Corp.に引渡し済みの18,200DWT多目的貨物船などがある。
 これらのうち、12,500DWT貨物船および18,200DWT(12,519G/T)多目的貨物船は、それぞれ旧ユーゴスラビアおよび日本への新造船発注の見返りとして、これらの国からの技術援助を受けて建造されたものである。

 

 KSEW社は、設立当初から新造船部門の工事量不足に悩まされており、かってはイランからの小型高速艇の大貴受注で好況を呈したものの、最近では新規受注が少なく、僅かに小型のタンカー、小型の巡視船、曳船などがあったに過ぎない。
 一方、修繕船部門では年間80隻ないし90隻を扱っており、このうち70%〜80%は外国船で占めている。
 同社は、諸外国の海軍や海運会社と修繕に関し提携しているので、安定的な修繕工事量の確保が可能となっている。

 

 

 

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