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 しかし、現在までに公表されている限りでは、注目に値するような鉱物資源は確認されていない。

 

 政府は、石油・天然資源省(Ministry of Petroleum and Natural Resources )のなかにある地質調査局(GSP )の予算を増額し、技術者の養成などを通じ鉱物資源調査活動を強化すると共に、石油・ガス開発公社 (0il and Gas Dev elopment Corp.)、資源開発公社(Resource Development Corp.) などを設立し、鉱種別に専門化した 探査・開発活動を行っている。
 銅鉱の開発については、フランス、カナダ、旧ユーゴなどの資源開発会社の資金・技術協力 を得て、バルチスタン州で試掘が行われている。
 また、パキスタン北部で産出する宝石の探査、採掘、加工、販売などを担 当する宝石公社 ( Gemstone Corp .of Pakistan) も設立されている。
 政府は、これらの公的機関の資源開発と共に 国内民間資本による商業べ 一ス での開発も奨励しており、税制面、金融面での優遇措置を講じて鉱業部門の発展に カ を 入れている。
 パキスタンの製造業は、輸入代替を通じ外貨節減に貢献すると共に、輸出の拡大による外貨獲得に大きな役割 を果たしている。
 1989/90年でみると、労働人口の12.7%を雇用し、GDPに占める割合は17.9%に達しており、パ キスタン経済にとって農業に次ぐ重要な産業となっている。

 

 パキスタンは1947年の独立当時には、製造業とよばれるものは殆ど存在していなかったが、現在では食品加工業のほか、 鉄鋼、肥料、セメント、化学品、車両など、広範囲に亘 る 諸産業分野を持つに至っている。
 特に、機械関係では船舶のほ か、砂糖、セメントなどの製造機械、米、小麦、野菜など食料品の加工機械を生産し、自動車、トラクターでは組み立てか ら一貫生産の方向に進んでいる。
 乗用車やトラックの生産台数は、年ごとに著しく増加している。パキスタンでは 輸 人 品に殆ど依存せず、ほぼ国産で自動車を生産する企業まで登場しているが、その主体は外国メーカーとの合弁企業である。

 

 

 

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