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 ダンピング商品、および政府の補助金を受けた商品が輸入されることによって、シンガポール国内の当該産業の存続を危うくするか、その発展を妨げるとみなされる場合、通常の関税のほかに「アンチダンピング税および相殺関税」が課せられる。
 為替管理制度については、シンガポールはアジアにおける金融センターとしての構築を強化するため、為替管理は78年6月以降、撤廃されており、海外への支払い、送金、資本の移転は自由である。但し、為替管理局の統計上の目的のため、銀行において必要書類の記入を要求される。

  (C)輸入資金の調達状況

 シンガポールでは、民間企業が船舶を輸入する場合、国からの直接助成がないので、全額自己資金によらざるをえないが、これを短期に完済できない場合には、開発銀行または市中銀行などの手段によることになる。
 また、契約時の延払い条件の利用と、これらの融資との組合せを行うケースもあり、これらによって資金の調達が可能となれば、輸入代金支払いのための外貨の取得は、為替管理上の制限や条件はないから、なんら支障なく外貨を調達することができる。

  (D)契約条件

 シンガポールの海辺業は、独立後まだ歴史は浅いが、長年にわたって英国植民地時代から習得した豊富な知識と経験をもち、船舶関係の事情によく精通している。
 従って、新造船の発注に際しても、世界情勢を十分に理解しており、契約条件などに関しても一般国際慣習に従っている。
 過去の契約実例をみると、長い延払い条件では80%を8年というケースから、60%を6〜7年といったものが多い。

  (E)取引ルート

 シンガポールの海運業は、英国の植民地時代から英国の支配下に置かれており、1965年の独立後も依然として英国系海運企業が根強い勢力をもっている。
 従って、新造船の発注先も英連邦が中心となる場合が多い。
 最近、国内造船所が従来の船舶修繕から新造船建造への態勢を整えるようになり、政府も新造船部門の発展のため、船主が国内造船所へ発注する場合には融資などの便宜を与える措置を請じている。
 それ故、船主は運航、採算の観点からして、納期、船価、延払条件などの点で、国内発注と比べ有利と判断した場合には、海外造船所へ発注することになる。

 

 

 

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