日本財団 図書館


(7)競争相手国との競争条件の比較

  (A)延払い、船価、品質等条件の比較

 最近、国内造船所が従来の船舶修繕から新船建造への態勢を整えるようになり、5,000G/T船の建造も可能となった。また、政府も新造船部門の発展のため、船主が国内造船所へ発注する場合には、税制面での特典や融資などの便宜を供与する措置を講じている。
 従って、船主は運航、採算の観点からして、納期、船価、品質、延払条件などの点で、国内発注と比べ有利と判断した場合には、海外へ発注することになる。
 しかし、タイが外国から輸入する船舶は中古船が多く、新造船の場合でも港湾用の雑船、曳航、凌渫船、漁船、一般貨物船、中小型タンカーと多種類にわたっているが、いずれも在来の定型的なものであり、高度技術を必要とするものでなく、どの造船国でも建造できる。
 従って、各国から輸入された船舶は、品質、性能の点では大きな差異はなく、目立った優劣の差はない。
 納期の点では、わが国は欧州造船国よりも優位にあるが、船価については、わが国は英国、欧州陣、韓国などと比べ、円高の影響もあり、不利な立場にある。
 従来、タイが輸入している船舶の多くは中古船の購入であり、わが国からも多数の中古小型船、漁船などが輸出されてきたが、いずれも契約条件は現金払いの場合が多かった。

  (B)輸出対策

 世界の海運業が貿易貨物争奪のため、保有船舶の近代化、経済船の増強、高速化、コンテナ化などを競っている今日、タイ海運(平均船令23年)が輸出入貨物の輸送で、これに対抗して国際競争力を確保するためには、自国保有の老朽化した中古船の代替、増強が必要とされる。
 従って、タイは将来の中小型船市場として考えられるが、国内の経済事情、外貨事情、海運企業の資金事情などからして、船舶の増強・拡充には中古船輸入によらざるを得ない状況にある。

  (C)歴史的、経済的なつながり

 日・タイ両国の交流の歴史は古く、両国の政治的、経済的関係は伝統的に友好裡に維持されており、近年益々緊密の度を深めている。
 1947年に日・タイ貿易が再開され、52年には国交が回復され、航空協定、文化協定、貿易取極、関税協定、租税条約、円借款協定、科学協力協定などが両国間に相次いで締結された。
 タイの対外経済関係では、わが国は最大の経済パートナーである。
 タイの日本との貿易総額の24.3%(1994年)、日本からの投資は外国投資の46.8%(1993年)を占め、タイが受け取った二国間政府開発援助(ODA)の62.2%を日本が占めている。
 タイの対日貿易は、1993年の輸出では米国(21.1%)に次ぐ相手国(17.1%)、輸入では最大の相手国(30.2%)である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION