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限りで承認される。
 次に問題点は、日・タイ貿易のインバランスである。両国間の貿易は、タイ側の恒常的赤字である。日本側の出超幅の増大は、タイ側にとっては赤字の拡大を意味するものであり、日本からの投資増大に伴う資本財、中間財の輸入増大で、対日赤字は、1987年の11億5,700万ドルから93年には57億5,900万ドルに拡大してきており、両国間最大の経済問題となっている。

  (C)輸入資金の調達状況

 タイ国における為替管理は、中央銀行が大蔵省の委託を受けて実務を担当している。中央銀行は、認可機関(外国為替取扱いを認可された銀行、両替商など)からの申請を受理し、認可事務を行うと共に、報告書類の提出を要求する権利がある。公認銀行は、法の範囲内で為替取引について中央銀行の代行機関として認可事務を行っている。法規上みかけは厳しく規制しているが、実際には緩やかであり、規定に従って申請手続きを行えば、公認為替銀行だけで事務的に処理して認可されている。
 従って、自己資金、融資のルートがあれば、輸入代金の支払いのための外貨の取引きは容易にでき、なんら問題はない。

  (D)契約条件

 タイにおける海運企業は、華僑をはじめとする外資を導入した資本形態のものが多く、各社の財政状態も一様ではない。
 従って、現金払いの場合、長期のクレジット供与を要請する場合など種々のケースが考えられるが、過去の実績では70〜80%を3年、5年、7年の延払いを契約の際の支払条件としており、特に困難なケースはない。

  (E)取引ルート

 タイにおける船舶の取引き相手は、従来、港湾局、水産局など政府機関と民間海運企業であるが、これらの当事者と接触を図る場合、政府機関の有力者と緊密な仲介者の存在や活動も無視できない。
 これは、交渉の段階で、仕様、船価、契約条件などに複雑な問題が生じることが往々にあり、これを有利に解決するためには、裏面の関係事項に通じた有能な仲介者の影響が大きく寄与することがあるからである。
 従って、タイの場合は、常に関係筋に対し新造船のPR活動を行い、認識と魅力を深めさせるよう努カすることが取引きのルートである。

 

 

 

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