日本財団 図書館


[[画像]] 221-1.gif

MHzすなわち、ほぼ400MHzと150MHzの電波を送信しており、その送信周波数の比は正しく8対3である。このような電波が電離層とその下の対流圏を通るときには、その周波数に応じた屈折をする。その様子を若干誇張して描いたのが図9・10である。

 このように電波の通路が長くなった分だけ伝搬に余分の時間が掛かり、また、そのドプラ周波数も変化する。

 この効果は電離層の電子密度の分布がある程度明らかになれば、電離層のモデルを仮定して実用上支障のない値にまで補正が可能である。対流圏の場合はその影響の絶対値も少なく、計算で相当程度補正できるし、地表面上での気圧、温度及び湿度を測定すれば更に良好な補正が可能となる。電離層と対流圏でどの程度電波通路が長くなるかを400MHzの電波の地表面への入射角、すなわち、衛星を見る仰角別に求めたのが図9・11と9・12であって、電波の入射角が小さく、電波の伝搬路が長いほど経路長の増加も大きくなる。

 NNSSでは、これら電波の伝搬距離の増加やドプラ効果の変化が使用周波数の自乗にほぼ逆比例する事実を用いて、前述のような8対3の比の二つの周波数の電波を測定することによって誤差の大部分が補正できるようになっている。しかし、一般の商船や漁船用の受信機は400MHzしか受信できないので、この補正を行うことができず、昼間で最大0.3海里、夜間は0.1海里程度の測定誤差を含むことになる。対流圏での屈折は、周波数によって変化をしないので、二つの周波数を用いても補正できず、この補正は計算によるほかない。

 

 

 

前ページ    目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION