日本財団 図書館


T形円線図法は、精度は高いが計算・作図が多少めんどうであるので、極数の多い機械無負荷電流が全負荷電流の50%以上或は全電圧短絡電流の20%以上もあるような電動機に対して使う。しかし、無負荷電流が全負荷電流の80%以上或は全電圧短絡電流の50%以上もある特殊電動機は、実測によった方がよい。円線図には上記のほか、π形円線図法その他の特長ある方法が創案されている。なお、円線図法は作図によって特性を算定するのが普通であるが、計算によっても算出できる(JEC−37誘導機付録参照)。
最近では一般に電子計算機を使用して特性計算を行っている。
なお、始動特性の算定にあたっては、鉄心の飽和の高い場合には、全負荷電流ならびに全負荷電流の2倍の2点を、対数目盛方眼紙上にて延長し、全電圧を加えたときの電流を推定し、下式により始動トルクTstを算定することが望ましい。
 

 
ここにRl:各端子間において測定した一次巻線抵抗の平均値(Ω)
IS’:全負荷電流に近い拘束電流(A)
WS’:全負荷電流に近い電流を通じたときの拘束時入力(W)
Ist:始動電流(A)
S:定格出力におけるすべり
P:定格出力(W)
(2)損失分離法
この方法は無負荷試験と実負荷試験から諸特性を算定する方法であり、入力側のみ測定を行うので、負荷の種類を問わず、電動機出力を消化できる機械であれぱよい。従って可変電源設備のない場所や、すでに相手機械と直結されている場合に非常に便利である。試験の順序ならびに特性の算定法は次のとおりである。
(a)一次巻線の抵抗を測定し、75℃又は115℃に換算した一次一相の抵抗値γ1(Ω)を算出する。
(b)無負荷試験を行い、定格電圧V0(V)における無負荷電流I0(A)、無負荷入力W0(W)を測定する。
(c)電動機に負荷をかけ、定格周波数・定格電圧において約1/4〜6/4負荷ぐらいにわたって運転し、それぞれの点の入力W(W)、一次電流I(A)及び回転速度NR(rpm)を測定する。
(d)以上の測定値から、次の式により特性を算定することができる。
 

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION