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地方リポート


観光を中心に新・大交流時代実現へ
「インターアイル」構想をを核に総合展開


沖縄県商工労働部観光文化局観光振興課長

花城 順孝



1. 沖縄観光立県推進地方会議の開催

 平成8年IO月9日、10日の2日間にわたり、本県で第13回観光立県推進地方会議が開かれました。
 中央からは、瀬島龍三前観光政策審議会会長を始めとする23名の中央会議の委員ならびに豊田実運輸事務次官を始めとする運輸省および関係省庁の職員が参加されました。
 また、地元からは大田昌秀沖縄県知事を始めとする地方会議の委員20名、ならびに玉城一夫沖縄総合事務局長および関係職員が参加し、開会式の後、2つの分科会と全体会議が開かれました。
 会議では、本県の観光を取り巻く現状を踏まえて、本県における観光振興のための具体的方策が報告書にまとめられました。

2. 沖縄観光立県推進地方会議の報告書

 報告書は、沖縄の観光を取り巻く環境を踏まえた上で、亜熱帯性気候・島喚県・東南アジアとの交流等の地理的歴史的条件を活かしつつ、孤立、点在化した観光資源を複合的、総合的にネットワーク化するとともに、積極的な観光振興方策の推進により、「観光交流を中心とした新・大交流時代」の実現を目指すとされております。
 具体的には、「魅力ある観光地域の形成」と「観光交流の推進」を2つの大きな柱として、観光資源を連携し、複合的・総合的ネットワーク化する「インターアイル構想」が新たに提言されております。

3. 沖縄振興開発計画と観光振興

 沖縄県は、昭和47年(1972年)に日本復帰以降、3次にわたる振輿開発計画に基づき、平成8年度までの25年間に約4兆9600億円の振興開発事業費が投入されました。
 その結果、道路、港湾、空港等の社会資本は、復帰前と比較にならないほど急激な整備が進められ、県民の生活環境についても格段の向上がありました。
 しかしながら、1人当たりの県民所得は全国最下位であり、また失業率は全国平均の約2倍の7%と高く、本県の振興開発の上で、大きな課題となっております。
 このような中で、本県への観光入込客数は、復帰前の昭和46年には20万人台でしたが、復帰の年の47年には2倍の40万人台へと増大し、沖縄国際海洋博覧会の開催された昭和50年には、156万人と大幅に増加しました。
 観光入域客数は、その後数回の落ち込みがあったものの、総じて増加傾向にあり、平成8年は目標の340万人を6万人上回る346万人を記録しました。
 観光収入についても、観光入域客の伸びとともに増大し、昭和47年には324億円、昭和50年には1258億円と4倍の伸びを示しました。観光収入は、その後も概ね順調に推移し、平成7年には3544億円と過去最高を記録しました。
 平成5年度の県民所得統計によると、観光収入は3442億円で、県外受取額約2兆1398億円のうち16.1%を占め、県外からの財政移転を除けば第1位となっており、軍関係受取額の2倍に達するなど、県経済を支える主要な柱となっております。
 第3次沖縄振興開発計画の基本的目標の1つは、「沖縄の特性を積極的に生かしつつ、引き続き各面にわたる本土との格差是正、自立的発展の基礎条件の整備」であります。
 この計画を受けて、沖縄県観光審議会の答申に基づき「沖縄県観光振興基本計画」が策定されましたが、この計画では、計画最終年の平成13年における観光入域客数を500万人、観光関連収入を6900億円と見込んでおります。

4. 観光政策の原点

「観光」の語源は、紀元前、中国の周の時代にできた「易経」の文言「観国之光利用賓干王」に由来するとされています。

 

 

 

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