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観光はサイバービジネス
現地の受け入れ体制に協力

眞島 健・(株)日本エアシステム会長



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眞島 社長の頃は忙しくて、ずっと代理人に出席してもらっていました。会長になり時間的に少し余裕もでき、昨秋沖縄で開催された地方会議に出席させていただきました。今、沖縄は全国的に関心が集まっている時ですが、沖縄は観光立県の国、何とか観光振興に役立ちたいと思いました。

TAPの役割りについては、どう感じましたか

眞島 TAPの役割というのは、県の最高責任者である知事が、観光の問題について真剣に考えられているということに、非常に大きな意味があると思います。

航空業界から観光を見てどう感じられましたか

眞島 現在、景気はよくない。世の中も暗い話が多い。そういう世の中だからこそ、皆さん息抜きというか、小さな幸せを求める動きになっていると思う。そこに旅行なり観光の意義があるわけで、むしろバブルの頃より生活に占める比重は大きいのではないでしょうか。ただ、観光の問題で、どこに行っても言われるのは、受け入れ体制という問題。航空業界から言えぼ、路線が発展してくれるためには、いわゆるリピーターというお客さんが必要なんです。そのためには現地が楽しいことが重要なファクターとなります。だから現地のイベントに協力したり、受け入れ体制に協力できることがあれば、協力しております。

運賃の内外格差も聞われておりますね

眞島 国内運賃が高いのは航空会社の努力が足りないとおっしゃる。そういう見方をする人もおりますが、高い理由は、国際線では不要な、燃料税がかかる。それから運賃の中で相当の比重を占める空港使用料も外国に比べて高い。また、日本の場合は人件費にしても、生活費にしても全体のコストが高いという問題が指摘されます。

しかし、航空の利用率は伸びていますね

眞島 昔に比べたら伸びています。平成6年度は国内で合計7800万人の方が利用なさった。そのうち相当の部分は観光旅行です。空港などが整備され、路線が増えたからでしょう。しかし、その中には利用率が30%とか40%という路線もあります。これ以上運賃を安くすると、こういった路線は切らざるをえなくなるでしょう。

地方にとっては空港の存在は大きいですね

眞島 明治時代に「おらの県には駅がねえ」というのがありました。今、皆さんはそういう感覚で空港を考えているんでしょう。新しい空港ができるのはいいことなんですが、羽田にしろ、関空にしろ、新しい空港というのは賃料が高いんですよ。平均的には2〜3倍。中には5倍になっている所もあります。とはいっても立派になり、利用者にとってもメリットがあります。そして、これを運賃で負担しなくてはなりません。

最近の観光についてはいかがでしょうか

眞島 マイカー時代を迎えて道路が整備され、家族で手軽に車で旅行するようになりました。この頃から、多人数でいく団体旅行より、小規模で気の合った者同士が旅行するグループの割合が増えたのではないでしょうか。

国内観光に関し、これからどうあるべきでしょうか

眞島 今、観光の振興策については、ウェルカムプラン21といった方策などいろいろ検討されています。そういうものを地道に具体化していくことでしょうが、基本的には地域独自のユニークなものを探し出し、それをうまく育ててPRしていく。これに尽きるのではないでしょうか。それと観光に訪れたお客様が楽しめるような受け入れ体制をつくることも必要でしょう。とくにお客様の二一ズは多種多様ですので、これへの対応が必要ですね。具体化は難しく、方策を見つけるのは大変ですが、例えば、沖縄の地方会議でもいろんな議論が出ましたけれど、歌手の安室奈美恵さんは沖縄出身だそうですが、彼女を沖縄に呼んで“東南アジアライブ”という定期的なコンサートを行うことが提言されました。そういうイベントだと手軽に観光客を呼べると思うんですよ。だから、こういうイベントを観光客が少ない時にやるとか、イベントの使い方というのはこういうことだと思うんです。

最後に観光は21世紀の基幹産業との見方について…

眞島 観光は総合産業のようなものだと思うんです。宿泊だけでもだめ、航空だけでも鉄道だけでもだめ、単なるイベントだけでもだめです。全体をうまく組み合わせることが出来るのは総合企画の才能のある人にしか出来ない。大変な仕事だと思います。そういう意味では、観光ビジネスというのはサイバービジネスの範疇にはいってくるんでしょうね。

 

 

 

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