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2−3−2 人件費

海洋土木事業者からのヒアリングから、道内建造船の高価格要因として、人件費の高留りが指摘されているため、ここでは地区別の人件費の相違をみることとする。

(財)日本小型船舶工業会の調査による、北海道と兵庫県及び全国の造船所労働者賃金を比較すると、北海道は全国水準からみても多少低水準であることが分かる。また、兵庫県と比較すると、人件費自体はかなり安留りであることが分かる。

造船所所定内賃金及び年間資与の比較(平成8年度(財)日本小型船舶工業会調査)

(単位:千円)

  月給制 日給制
所定内賃金 年間賞与 所定内賃金 年間賞与
北海道 266 749 10 433
兵庫県 343 715 14 1,500
全国 303 761 11 534

下のグラフは、「積算資料」の建設労働者賃金より、溶接工の賃金に関して、札幌と神戸・京都・大阪並びに高松・徳島について比較したものである。これから、北海道(札幌)の溶接工人件費は、神戸地区あるいは高松地区に比べると安価に推移していることが分かる。

以上より、海洋土木事業者等から指摘の多かった北海道の人件費が高いといった認識に関しては、人件費単価に起因するものではなく、積雪や寒冷地であることに起因する工数増や作業能率の低下も含めた、生産性の側面にあることが推察される。

建設労働者(溶接工)の地区別賃金グラフ

073-2.gif

 

 

 

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