横強度計算の際考慮すべき最も酷な荷重状態としては喫水線の高さが最も高くなる満載ホッギング状態が考えられるが、横強度計算では満載喫水線までの静水圧をとるのが普通である。この場合、静水面からhmの深さで横部材が海水から受ける圧力は外板面に垂直後方に1,025h?s/?uである。
横強度計算は1フレームスペース間の横部材について行うので、上記の水圧分布にフレームスペースをかけて横部材単位長に対する荷重分布を算出する。
(b) 甲板荷重
上甲板暴露部の荷重として甲板積貨物または甲板上に打ち上げられる海水の重量を考える。この場合密度fc?s/?uの貨物をhcmの高さに積んだ場合、貨物による圧力はfc・hc・?s/?uであるが、fcは貨物を均質とした値であるから、一般にはその空げきを考えてこれよりいくらか小さな値をとるべきである。甲板に打ち上げた海水の重量に対しては、普通ブルワークの高さhbmの水頭をもつ海水の静水圧1,025hb?s/?uをとる。
また、甲板間貨物による荷重は、上と同様に、すきまを考慮した貨物の平均密度fc?s/?uと甲板間高さHcmとからfc・Hc?s/?uとなる。この場合、貨物は船側に対しても側圧を及ぼすはずであるが、外板の外側から働く水圧の効果を打消す方法に働くから、安全側をとって普通これを無視している。
以上の水圧の和の分布にフレームスペースをかけ横部材の単位長に対する荷重分布を求める。
(c) 構造重量
強度計算を行なう部分の1フレームスペース間について横部材の各位置における構造の単位長当りの重量を算出し前項までに述べた荷重分布に重ね合わせる。
(d) せん断カ
第2.30図
以上に述べた1フレームスペース間に加わる荷重の垂直成分の総和は一般に0にならず、これだけでは上下方向の釣合条件は満足されていない。このほかに外板およびその他の縦通材を通じて隣接した部分から伝達されてくるせん断力を考慮することによりこれが満足される(第2.30図参照)。その大きさは縦強度計算の際求めたせん断力曲線を使って前後のフレームスペースとの境界断面に働くせん断力応力の分布を求めることはできるが、簡単のためこれは行なわず、前に述べた水圧、貨物、構造および機関の重量の総代数和を求め、これと大きさを等しく向きが反対なせん断力が両舷の船側外板に半分ずつかかるものとして横部材系全
前ページ 目次へ 次ページ
|
|